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塾講師のバイトは超絶ブラック

ブラックバイト。あなたもこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

簡単に言うと労働条件が常軌を逸脱して悪いアルバイト環境の事を指します。このブラックバイトは飲食業、塾講師業、建築業と数多くの業界で蔓延しており、毎年数多くの学生やフリーター、そして主婦が犠牲になっております。

このブラックバイトはどの程度ブラックなのか。そしてあまりに労働条件が悪いブラックバイトを続けるとどんな目に合うのか、そしてブラックバイトはどうすれば辞められるのか?

こういった点をご理解頂くためにこのページでは、ブラックバイトを経験して、心身ともども疲弊した管理人の知人の大学生のエピソードをご紹介します。

コマ給単位でのバイト代

私は大学1年生のとき、初めてのアルバイトとして某個別指導塾のアルバイト塾講師を約1年間勤めました。

この個別指導塾はいわゆるブラック企業であり、私は一介のアルバイトであるにも関わらず長時間のサービス残業を課されておりました。

特に最悪だったのは、アルバイトの給与形態が「コマ給」になっていた点。

このコマ給というのは、生徒を担当する授業(これを1コマという単位で表し、およそ90分だったかと思います)しかお給料が出ず、それ以外の時間はすべてサービス残業になるのです。

しかも私が勤務した塾は、講義以外の残業が異常に多い塾でした。生徒さん一人ひとりにカリキュラムを作るのですが、これは完全なるオーダーメイドです。

具体的に行うことは教務室にあるテキストのレベルや特徴をすべて把握し、三ヶ月である程度生徒の成績が上がるように計画を立てることです。これはかなり時間がかかります。

しかもいくら時間をかけて作ったとしても、作成した計画書は先輩のチェックを受ける必要があり、先輩のゴーサインが出なければ作り直し。

求められるレベルも高く、何日に何のテキストを何ページやる、という細かな計画性も必要でした。

コマがない日はサービス労働

また、一人の生徒さんに教科ごとに複数の講師がついていましたので、彼らとも打ち合わせをしなければなりませんでした。

しかし、担当講師全員のシフトが合い、顔を合わせることなど滅多にありません。その結果として打ち合わせの際は、誰かしらシフトに入っていないのに出勤する羽目になりました

塾講師の仕事、というよりアルバイトすら初めての大学生に、こんなに大変なカリキュラムをすらすら作れるはずがありません。

生徒さんは受験がかかっているのですから、適当なものを提出するわけにもいきません。

そのため、授業の後に3、4時間はこのカリキュラム作成に追われるのは日常茶飯事。それに時には授業が入っていない日も塾に来て、カリキュラム作成だけ行って帰る、ということもありました。

当然この日は、お給料どころか交通費も入りません。半日塾にいる日、終電で帰る日も増えましたし、男子の中には教務室に泊まり込む強者までいました。

そしてこのカリキュラム作成は、新人だから苦労しているということではなく、どんなベテランの先生も睡眠時間と命を削るようにして行っていました。

バイトに理想を押し付ける

彼らは新人の指導もありますし、就職活動や大学院の入学試験などとも重なり、ストレスも溜まっていたために、八つ当たりを新人にすることがありました。

よく行われたのは時折新人指導と称して深夜1時や2時まで教務室に新人を拘束し、我々の指導の何がいけないのか、どんな講師を目指さなければならないのか、といった説教を行ったりしていました。

どのような講師になりたいのか、理想の教育とは何か、と詰め寄られ、先輩が期待する答えを出さなければ帰れないのです。

アルバイトの中に、教育に情熱を燃やす人、あるいは教員を目指している人はいませんでした。

みんな「自分はずっと勉強を頑張ってきたのだから、この学力を活かしてお金がもらえたらいいな」程度の考えでアルバイトを始めているのです。

それなのにいきなり理念を聞かれても、まともな回答が出てくるはずもありません。

「ここで塾講師をするからには、24時間生徒のことを考えなければいけない」と徹夜でハイになった先輩に言われた瞬間に、「自分はとんでもないところに来てしまったのだ」と自覚しました。

ブラックバイトだと分かる

まだ19歳の娘です。両親も、なぜアルバイトでこんなに遅くなるのか、学業が疎かになるのではないのか、と大変心配をしてくれました。

というのも、外資系企業でSEをしている父親より帰宅が遅くなることすらあったためです。また、大学の友人とも話すうちに、自分の勤務体系が異常だということがだんだん分かってきました。

居酒屋やショップでアルバイトをしている友人はシフト通りの時間に上がれるのに、自分は帰宅時間がいつになるのかもまったく分からず、実質の時給が300円を切ることもあったためです。

ストレスで自律神経失調症に

シフトが入っている日は朝から胃が痛くなり、やがてそれは連日のものとなりました。

やはり激務のため体調を崩す人が多かったためか、「今日は誰それが休みなので、何時からシフトに入ってほしい」という「お願い」、というより命令の電話が常に塾長からかかってくるためです。

やがて寝不足や食欲不振、抑うつ症状が現れ、病院で自律神経失調症だと診断されました。

また、ネットで調べるうちに、「ブラック企業」に加えて「ブラックバイト」というものも問題になっていることを知り、自分はその犠牲者となってしまったのだと痛感しました。

その頃には仕事を初めてから半年経っていましたので、塾長に退職の意志を伝えましたが、どうしても辞めさせてくれませんでした。

退職願を出しても無視、自律神経失調症の診断書を提出しても無視。それどころか、絶対に私が辞められないように拘束を強めてきました。

退職が認められない

不運なことに冬休みシーズンでしたので、問答無用で冬期講習のシフトを入れられました。このシフトに関してはどうしても休む場合は代理を見つけるように、と厳命されました。

しかも冬期講習の先を見越して、新年度の担当生徒さんも勝手に決められてしまいました。

また、この頃同期の女子大生のお父さまが脳梗塞で倒れ、彼女も介護をしなければならなくなったためアルバイトの継続は無理になってしまいました。

こんなにもヘビーな家庭事情を抱えた塾講師ですら塾長は途中で辞めさせるのを拒否していたのです。

塾長に洗脳され、教育にすべてを捧げることこそ慶びと感じている一部の先輩以外は、全員口を開けば「辞めたい、辞めたい」と言っていました。

全員の希望を聞いていたら、あっという間に講師不足となってしまうのでしょう。だからこそ絶対に辞めさせられないのだと思います。

ならば、カリキュラムのオーダーメイドなど、はなから素人には無理な仕事はさせない、あるいは、しっかりとお給料を払う必要があると思います。


ちなみに私自身は塾講師がそこまで大変な仕事だと分かっていれば、最初から応募はしませんでした。

退職を決意

どうしても辞めさせてくれないので、複数人で仕事をいきなり辞めることにしました。未成年ながら手分けをして労働基準法を調べ上げ、「退職届」というものを出せば二週間後に辞められることを知りました。

この届は提出することはしましたが、塾長は本人も忙しいせいか、ほとんど見ていなかったようです。

とはいえ、受験生の生徒さんは最後までしっかり見ましたし、「私はこんなブラック企業が嫌だから辞めるのであって、無能だから逃げるのではないのだぞ」という意地で、担当生徒は全員志望校に合格させました。

受験前最後の授業でお守りを渡しながら、「私からの最後の教えです…絶対に大学生になっても、このアルバイトはしないで!」と言ってきかせました。

退職後体が元通りに

退職後、自律神経失調症は嘘のように完治しました。退職届の作成過程で知恵をつけ、残業時間を記録して本社や労働基準監督署に訴えてみたものの、ほとんど手ごたえがなかったのは残念でした。

数年後、当時の塾長も心身を病んで休職したという噂を聞きました。

思えばあの塾は大手チェーン塾で、教室内唯一の社員だった塾長は、我々アルバイトからは嫌われ、上司からは業績についてうるさく言われるという、辛い中間管理職だったのだと思います。

彼女も、なにも我々が憎くて無理な労働を強いたのではなく、そうとでもしないと自分があの会社で立場を失ってしまったのでしょう。塾業界の闇を垣間見た思いがしました。

現在31歳の現役のサラリーマン

一流と言われる私立大学を卒業しながらも新卒の就職活動に失敗してブラック企業に入社。

入社後には尋常ではない陰湿なパワハラの被害に遭い、嫌気がさして1年弱で退社して無職に。職歴のブランクあり、スキル無し、コネなしという状況で就職先が見つからず、スキルを身に付けるべくベンチャー企業(実態はスーパーブラック企業)にアルバイトとして入社。

2社目のベンチャー企業という異名を持つブラック企業はパワハラはないものの、激務・薄給(時給換算で500円以下)と典型的なブラック企業でしたが、その会社でWEB制作の技術を学び、その経験から現在の会社(非ブラックな中小企業)に引き抜かれました。

これまでの経験からブラック企業の実態、転職活動のコツ、無職並びにフリーターの就職活動周りに非常に精通しているので、こういった内容のコンテンツを随時配信していきます。なお、自身の過去の経験から労務問題には興味を持ち、隙間時間で社労士の資格勉強にも着手中。

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