

みなさん、教師から他の仕事に転職することはできないと考えていませんか?
確かに教師から他の仕事へ転職することはそう簡単なことではないのですが、教師から転職することは決して不可能な話ではないのです!
このことをご理解頂くためにこのページでは実際に教師から他の仕事に転職した経験者である筆者が、転職する際にすべきことや、民間企業に移るメリット・デメリット、そして民間転職による給与面の変動幅などについて解説していきます。
目次
まずは教員時代の不満を特定する
教師としての仕事のどのような点に不満を感じて転職をするのか。
教師から他の仕事へ転職する前にまずこれを考えるところから始めましょう。教師としての仕事のどのようなところに不満があったのかを確認しないままに転職しまうと、転職先でも同じ不満を持つ可能性が高いからです。
例えばあなたは教師として土日出勤に不満を持って転職をするとします。
しかし、このケースで「土日出勤が嫌だった」という不満を明らかにしていないと「土日勤務がないという条件で転職先を絞ることができません。
また教師の給与面に不満を持って転職を考えるとします。このケースでもその不満を明らかにせずに転職をしてしまうと、給与面にこだわった転職はできないのです。
この二つの例で明らかなのは、教師から転職する前にまずは「教師の仕事のどのような点に不満を感じているのか?」という考えることが非常に重要である点です。
教師が転職を考える4大理由
もちろんいきなり教師時代の不満を明らかにしろと言われても唐突で何も思い浮かばないかもしれません。そこでここでは「教師が転職を考える際の主な4つの理由」を1つずつご紹介します。
激務過ぎるから
一つ目は「教師の仕事が激務だから」という理由です。
近年、教師の仕事がとてもブラックだと言われています。朝から晩までサービス残業、土日も部活動の顧問を務めているために休めない、夏休みや春休みも毎日変わらず勤務。
数日休めるのはお盆か正月ぐらい。そんな労働環境に嫌気がさし、教師から他の仕事に転職するという方が後を絶ちません。現に私自身がこのパターンです。
このパターンが理由で転職する場合、転職先は土日が休みの会社やワークライフバランスが優れた会社を選ぶのが一番。
給与面に対する不満
二つ目は「給与面が割に合わない」という理由です。
これは一つ目の理由にも関わる話ですが、毎日のサービス残業に土日勤務が前提の労働環境。それでももちろん公務員のため残業手当は出ません。
それに親からのクレームや生徒が問題を起こすなど、緊急の事態にいつでも対応しなければならず、未だに「24日時間教育公務員」という俗称があるくらい。
私ももちろん同じような環境で働いていましたので、時給にするとわずか三百円程度という最悪な待遇でした。給与面に不満を持って教師から他の仕事に転職する方もかなり多いです。
メンタルの不調
三つ目は「精神疾患」が理由です。2010年度に教員になった方々の中で300人が「精神疾患」を理由に教師から他の職業に転職していることをご存知でしたか?
教師というのはかなりストレスフルなお仕事ですよね。学級経営や親との関係、生徒が反発すればなかなか思うように学校運営がうまくいきません。
それに毎日、遅くまで働いて、朝早く出勤して、家に帰るのはただ寝るためだけ…。どれだけ熱い志を持った人でもこのような環境では心が折れてしまうのも仕方がありません。
現に私が教師をしていた頃は毎年病休、自己都合退職、転職などで消えていく教師を見ていました。私自身、教員を辞めるときはメンタルがボロボロでした。
より良い職場があったから
4つ目は「教師よりも待遇のいい転職先を見つけたから」が理由です。
給与面、勤務時間、通勤時間など人によってそれぞれですが探すことで教師よりも待遇がいい、そして自分に適した転職先はいくらでもあります。だって、学校は激務のわりに給料が少ないブラック企業みたいなものですしね。
そこでもしあなたが毎日、朝から晩まで休みなしで働いて心身ともに消耗しきるならば、少し負担があれば転職先を探す方が良いでしょう。
ちなみに私の場合は教師をする傍ら転職活動をしました。土日を中心に行い、部活動などを休むこともありましたが自分の将来のためです。ここは遠慮している場合ではありませんでした。
いかがでしたでしょうか。教師から他の仕事に転職する際は、以上のような理由で転職するケースが多いようですね。このどれに該当するかで適切な職場が変わる以上、何故「教師から他の仕事に転職するのか」を考えましょう。
就きたい仕事を考える
先生を辞める理由が明確になった後は、次にどんな仕事をしたいのか考えてみましょう。そのために私のお勧めは、「教師の仕事の中でやりがいを感じたこと」をノートに書きだすことです。
例えば、教師の仕事の中で「人に教えること」にやりがいを感じたとします。そうであるならば、次に転職する際も「人に教えること」ができる仕事を選ぶと理想の仕事に転職することができます。
このケースでは、塾講師やコンサルタントなんて相性が良いはずです。
他にも教師の仕事の中で「保護者や生徒の相談に乗ること」にやりがいを感じたとします。この場合、次の仕事も「誰かの相談に乗ること」ができる仕事を選ぶと理想の仕事にありつけるはず。
このように、教師と他の仕事は、職業としては違いますが、仕事内容に共通することは沢山あるのです。
ただし、いきなりやりがいを考えるのは難しいかもしれません。そこでここからは多くの教師が仕事の中で感じる主なやりがいをご紹介します。
教え子の卒業を見る事
一つ目は、「生徒が卒業したとき」です。
確かに教え子が卒業していく姿を見るとこれまでの苦労が報われたような思いになりますね。このようなことにやりがいを特に感じる方は、仕事相手と長く付き合えるような仕事に転職することが適しています。
具体的にはBe-to-Beサービスや利用者と長く付き合える保険会社の営業とかも向いているはず。
チームをまとめること
二つ目は、「学級運営がうまくいったとき」です。自分の努力によってバラバラだった学級が一つになっていく感覚は私も忘れられません。
このようなことにやりがいを特に感じる方は組織を運営するような仕事に転職することが適しています。会社経営や会社の中で組織を支える総務部なんかは適職のはず。
相手の成長の役に立つ
三つ目は、「自分の授業で生徒が学力を伸ばした時」です。授業を考えるのはとても大変ですよね。苦労して考えた自分の授業で生徒が難しい内容を理解した時はその疲れも吹き飛びます。
このようなことにやりがいを特に感じる方は人に何かを教えるような仕事が適しています。それに人の課題を解決する仕事も向いていますよね。
具体的にはソリューションを提供するIT企業の営業職や企業の経営課題を解決するコンサルタントなんてまさにぴったり。
自分が教師として何にやりがいを感じたのかを確認できたら必ずノートなどにまとめておきましょう。
民間企業に移る良し悪し
民間への転職は思い切ったキャリアチェンジですが、教師から転職するメリットはデメリットよりも多いです。このことをご理解頂くためにこれから民間企業に転職するメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
メリット
最初にご紹介するメリットに関しては、数えきれないほどありますが、私自身が良く感じるメリットとしては3種類があります。
会議や商談時のプレゼン能力
一つ目は「堂々と話せることが転職先で高評価を得られやすい」ということです。この話をすると、「えっ?」と思うかも知れませんが、実は教師なら毎日経験する人前で話すことはかなり評価されます。
現に他の職業ではなかなか大勢の前で話す経験を得ることができません。その点、この経験を山ほど積んでいる教師は企画の発表をする際やミーティングの際に臆することがありません。
新天地の満足度が高い
教師から転職をする際に「自分は何に不満を持つのか」、「何にやりがいを持つのか」をしっかりと絞って転職した場合、転職先での満足度が高いことが多いのです。その理由は至ってシンプルで自分の嫌なことから逃げ、やりがいを追い求めた新天地探しだからです。
それにそもそもの話、学校がかなり厳しい組織なので多少の理不尽も受け流せるので結果的に多少ブラックな会社に入社をしても楽しめる余裕を持てるケースも多いのです。
意外と出世できる
三つ目は「転職先で昇進がしやすい」ということです。
まさかと思うかもしれませんが、組織運営や教師としての激務に耐えてきた経験は決して無駄にはならないのです。それらの経験は民間企業でバリバリと働くエネルギーに変わり、役職を任されれば組織運営の経験を転職先で生かすことができます。
デメリット
これまでご紹介したメリットと同様に民間に転職するデメリットについても3つご紹介します。
安定性が下がる
一つ目は、「会社が倒産するかもしれない」ということです。残念ながら民間企業はこの運命に逆らうことができません。
この公務員ならではの永久雇用や組織が潰れない、という安全性がないのはデメリットにカウントされます。そこで民間に移るのならば組織がいつまであなたの生活を支えてくれるという甘えは捨てることが必須になります。
競争がある
二つ目は、「競争社会の中に入っていかなければならない」ということです。どうしても教師の世界は牧歌的というか、結果が如実に反映されない分、平和ですよね。
しかし民間企業に転職するとそうは行きません。昇進を巡っての営業成績の張り合いなどがあります。それにノルマを達成できないと、リストラや閑職に追いやられることもあります。
この点を考えると、競争を楽しむ覚悟はやはり必要になります。
覚えることが多い
3つ目のデメリットは教員を辞めて新しい職場に移る場合、一番下っ端から1つ1つ学ぶことが求められます。
それに年下の上司を持つこともありますし、今までの教師としての仕事が全く生かせないこともあります。こればっかりはキャリアチェンジなので仕方ありませんが、一番下の身分でゼロから新しいことを学ぶのは決して楽ではありません。
この点を考えると、職場を学校から民間に移す際は「石の上にも3年」という心がけは重要になります。
メリットの方が大きい
以上のメリット・デメリットを見ても分かる通り、教師から他の仕事への転職は覚悟さえあればメリットの方が大きいのです。この点を考えると、学校に不満があるのでしたら思い切ったキャリアチェンジをすることをおすすめします。
教員経験者におすすめの職種
次に教師の経験を持つ人材が輝ける転職先をご紹介します。
塾講師・家庭教師
最初にご紹介する人気の転職先は「塾講師・家庭教師」です。
やはり教師としての経験を生かせるという意味では、最も教師と転職先のギャップが少なく馴染みやすいというのが理由の一つです。しかも部活の顧問になる必要がないので、勉強を教える仕事に集中できます。
教師として勉強を生徒に教えるのが好きだったという方は、塾講師や家庭教師が適しています。
各種のコンサルタント
教師として人から相談を沢山受けてきた経験を生かして、コンサルタント業務に就くこともできます。このコンサルタント職には経営コンサルタントもそうですが、人事コンサルタントやキャリアコンサルも含まれます。
生徒や保護者との進路相談や生活相談、教育相談などを通して培ってきた知識やスキルをコンサルタントとして生かすことが可能です。人の相談に乗るのが苦にならない人にはまさに天職。
民間企業の事務職
教師といえば生徒や保護者など人に対する仕事を想像されがちですが、実は教材研究、事務作業、成績管理や生徒のデータ管理などといったパソコンでの作業もかなり多いです。
豊富なパソコンスキル、パソコン経験を持つ教師が民間企業の事務職に転職して活躍しているケースは多いのです。特に対人能力が必須な学校で過ごした経験はチームワークが求められる職場ではまさに最適です。
日本語学校、海外日本人学校
国語科や英語科を担当していた教師なら国内の外国人を対象とした日本語学校や、海外の日本人を対象とした海外日本人学校への転職という選択肢があります。
日本の公立学校とは違い、それほど忙しいわけではありませんので、「教師は続けたいけれど、激務には耐えられない」という方は最も適しています。実はこれは筆者自身、かなり考えました。
民間に移る予定の先生が抱く疑問
これまで教員の転職活動についてご紹介しましたが、未知の領域である民間企業に移るのは不安が多いはず。そこでここでは民間への転職を考えている教師が抱きがちな6つの疑問とその答えをご紹介します。
教員経験はどう評価されるの?
教師の労働環境がかなりハードだということが認知されてきました。その勤務条件下で働いてきたという事実が評価されます。
また教師時代に得た功績(部活動の指導実績や全国学力・学習状況調査での成果など)におけるご自身の貢献方法などが評価されます。
入社時期はいつが一番?
この入社時期に関しては新年度が最適です。なぜなら年度途中での採用ということは、学校の年度体制を放棄していると見なされるからです。
仕事に対する責任感を示すためにも学年末まで教師として勤務した後、新年度から転職先へ入社することが望ましいです。なので、民間企業の4月入社枠を狙うことをおすすめします。
退職理由はなんと説明すべき?
教師という仕事が嫌になり辞めたとあれば転職先も嫌になれば辞める人間だと評価されてしまいますので「転職先に魅力を感じて退職を決めた」というのが最適解です。
こちらは、本音と建て前を上手く使い分けることはやはり大切。ちなみに理想的なのは教員時代の経験の中で感じたポイントを上手に転職先企業の事業や考えと結びつけることです。
例:1年で生徒と離れ離れになるので、もっと長く目の前の相手と関われる仕事に魅力を覚えた。
こういった理由をきちんと用意した上で退職理由や転職を希望する理由を伝えればかなりポジティブに評価されます。
民間にいくと給料は上がるの?
これは選ぶ職業にもよりますので一概にはお答えできません。
その上での話になりますが、あなたが教師としてのキャリアを積み上げ年度ごとに給与が上がったのと同様に、民間企業でもまずはキャリアを積み上げていく必要があります。
そのため最初は給与面で言えば教師時代よりも下がるかもしれません。なので、ある程度の給与のダウンは許容することをおすすめします。
これを受け入れるだけで転職先候補の企業がぐっと広がります。ちなみに気になる転職先の給与については転職エージェントに相談していただくことで詳しく調べることができます。
先生の仕事って役に立つの?
私は教師から総合職の営業に転職をしました。人前で喋りなれているということが営業での仕事に役立っています。
また教師としてかなり激務に追われている毎日だったので、週休2日にこだわり転職をしたことが正解でした。体調管理、生活リズムの管理などが以前とは段違いでしやすいです。ただそこまで考えが至るのは、教師としての経験があったからです。
そういう意味では最初に先生になったのはそこまで後悔はしておりません。
先生を辞めて後悔したことは?
特にありません。もちろん最初は給与も下がり、慣れないことばかりで大変でしたが今は転職をしてよかったと心から思っています。
ちなみに気になる給与も教師から転職して二年目の現在では無事教師の頃の給与を上回ることもできました。これは営業の仕事柄かもしれませんが、最初は仕事も給与も厳しいですが、教師の時よりも頑張りがきちんと待遇に反映されるのが嬉しいです。
まずは転職エージェントに会う
ここまでこの記事を読んでいただいたみなさまの心の中には、少なからず「教師から他の仕事へ転職しようか」と迷っている気持ちがあるのではないでしょうか。
そんな気持ちの相談に乗ってくれ、一人では苦労する転職をサボートしてくれるのが転職エージェントです。
教師はとても忙しいですし、転職経験がなければ何から始めていいかもわからないでしょう。そのような人は転職エージェントを活用して、安心・安全に次の転職先を探しましょう。
現在31歳の現役のサラリーマン
一流と言われる私立大学を卒業しながらも新卒の就職活動に失敗してブラック企業に入社。
入社後には尋常ではない陰湿なパワハラの被害に遭い、嫌気がさして1年弱で退社して無職に。職歴のブランクあり、スキル無し、コネなしという状況で就職先が見つからず、スキルを身に付けるべくベンチャー企業(実態はスーパーブラック企業)にアルバイトとして入社。
2社目のベンチャー企業という異名を持つブラック企業はパワハラはないものの、激務・薄給(時給換算で500円以下)と典型的なブラック企業でしたが、その会社でWEB制作の技術を学び、その経験から現在の会社(非ブラックな中小企業)に引き抜かれました。
これまでの経験からブラック企業の実態、転職活動のコツ、無職並びにフリーターの就職活動周りに非常に精通しているので、こういった内容のコンテンツを随時配信していきます。なお、自身の過去の経験から労務問題には興味を持ち、隙間時間で社労士の資格勉強にも着手中。
コメントを残す