

最近では良くテレビやニュースで頻繁に話題に上がるブラック企業ですが、ブラック企業か否かの診断基準ってあまり公開されていませんよね。
これではどんな会社がブラック企業で、どんな会社が真っ当な会社なのかを診断するのは難しいという現状があります。しかもどんな会社をブラック企業と見なすかの診断基準は個々人によっても変わるという実情もありますしね。
そこでこのページでは過去に2社のブラック企業で働き、現在はコンサルタントという立ち位置でブラック企業の経営のお手伝いをしている筆者がブラック企業であるか否かを診断する際に参考になる診断基準についてまとめてみました。
目次
いくつ当てはまりますか?
実はその会社がブラック企業であるか否かの診断基準は原則として総合評価になります。この「総合評価」と聞くと「え、?」って思うかも知れませんが、まさにその通りです。
現にパワハラが激しい会社であっても給与水準が良く、福利厚生が良い会社は必ずしもブラック企業とは言えません。それに深夜残業を課す会社でも給与が良く、働いている本人がブラック企業と思えなければ、その会社はホワイト企業になり得るのです。
この「ブラック企業であるか否かの診断基準は総合評価である」、という前提に立った上で1つご質問させてください。
あなたが所属していたり、転職先の候補として考えているる会社はこれから取り上げる16のブラック企業要素の中で該当する項目が何個あるでしょうか?
- 週休2日制がない
- 週のサービス残業が30時間以上
- 有給を自由に取れない
- 労働法に違法した雇用契約がまかり通る
- 社員の定着率が2年以下
- 定時帰りを悪にする
- ハラスメント行為が野放し
- 女性社員が定着しない
- 人が足りず慢性的に業務が止まる
- 社会保険に加入していない
- 休職制度がない
- 違法行為を会社ぐるみで行う
- 給与が同年代の平均値を下回る
- 週の残業時間が60時間以上
- 社員の平均勤続年数が3年未満
- 露骨な追い出し行為がある
これを1つ1つ、見てみるとかなりブラックな要素になりますが、実はこの要素を1つも持っていない会社はほぼゼロ。そのためにも何個該当するかがポイントになります。
それでは該当項目数別にブラック企業度合いについて診断していきましょう。
0個
まず先ほど取り上げたブラック企業に該当する16の診断基準がゼロの会社。これははっきり言いますと「ホワイト企業」と診断される完璧な会社です。
だってそうですよね。まず週60時間以上の残業がなく、サービス残業も30時間未満。それに週に2日休めて有給も取れて、パワハラ・セクハラがない。
こんなのブラック企業とは程遠い、真っ当な会社です。
もちろんこういった会社の中にも嫌な上司や多少は残業代が発生しない残業時間もあるでしょうから完全にブラック企業の要素がゼロとは言えないかもしれません。
しかし、ブラック企業診断に利用される16の診断基準に該当する項目がゼロである以上、世間一般の基準で見ると完全なホワイト企業です。
こんな会社は絶対に転職先として選びたいですし、今在籍しているのでしたら辞める理由は見当たりません。是非とも残りましょう。
3個以下
次にご紹介するのはブラック企業の16の診断項目に該当する項目はいくつかあるとはいえ、該当項目が3つ以下のケース。
このケースの会社は決してホワイトな会社とは言えませんが、ブラック企業には基本的に該当しません。ま~あ言ってしまえば、優良企業です。
なぜなら、基本的に日本の普通の会社は1つや2つはブラック企業の要素があるからです。例えば就職ランキングで常にトップ10を争う三菱商事。
こちらは給与も良く、残業代も支給されますが、商社なので残業時間は60時間を普通に超えます。それに激務なので、定時帰りは事実上不可能。
しかし、その他のポイントが優れているので、ブラック企業では全くありません。
三菱商事のケースはやや極端ですが、16の診断基準の中で該当する項目が3つ以下、というのは入社する価値がある優良企業と言えます。むしろ、どちらかというと、かなり良心的な会社でさえあるのです。
4個~8個
次にご紹介するのはブラック企業の16の診断基準の中の項目の中で該当する項目数が4個~8個の会社。
こういった会社は、表上は優良企業の顔をした隠れブラック企業であるケースがほとんど。なぜなら診断項目が4個~8個の会社は一般的には良い会社のことが多いからです。
例えば数年前に東大卒が自殺者が発生したDという広告代理店。この会社は国内の人気就職先ランキングでトップ30に必ず入ります。
現に平均年収は1000万円を超えますし、社会的なステータスもあるので、今後の大人気の会社と言えるでしょう。しかし、このDの実態はブラック企業の診断基準に該当する項目が大量にあります。
例えば、永遠に続く残業。それに上司からのパワハラ、セクハラ、しかもそういった違法行為を野放しにする職場の体制、これはまさにブラック企業そのもの。
要するに診断項目の該当項目数が4個~8個の会社は、一見するとホワイト企業や人気企業の顔をしていることもありますが、実態はブラック企業であるケースがほとんど。
この点を考えるともしあなたが所属している会社が「隠れブラック企業」に該当するのでしたら転職先を探すのが無難ですし、転職活動をされているのでしたら診断項目が4個~8個の会社は避けたいところ。
9個~12個
次にご紹介するのは16のブラック企業の診断項目の中で該当する項目が9個~12個の会社。
こちらは紛れもなくブラック企業と診断される会社です。それはそうですよね。今回取り上げた16のブラック企業の診断基準というのはシンプルに言うと、激務さ、給与の安さ、労働環境の悪さを示しているものばかりですから。
つまり、16の診断基準の中で過半数の9個以上が該当する会社は普通に退職を考えるのが望ましい企業になります。それに転職先には原則として選んではいけないやばい会社でもあります。
ただし、診断基準が9個~12個のブラック企業であっても人によっては良い会社の事もあります。例えば国内の人気証券会社のN証券。
この会社の場合、ノルマがきつく、パワハラは多い上に残業時間も多いです。しかし、給与が良く、「数字が人格」の世界なので数字を出していればある程度自由が認められます。
この点を考えると数字を出せる優秀な人材にとってはオアシスのような会社なのです。もちろん、数字を出せない人から見ると完全なブラック企業ですけどね。
そこでもしあなたがこういったブラック企業でのし上がる自信や気概がないのでしたら入社すべきではないですし、既に入社しているのでしたら早急に転職活動に着手したいところ。
13個以上
最後に取り上げるのは今回ご紹介したブラック企業の16の診断項目の中で該当する項目数が13個以上の会社。
こういった会社ははっきり言って正真正銘のブラック企業と診断される「本当にやばい会社」です。
実は筆者自身、16の診断項目のうち14個を満たす正真正銘のブラック企業で1年以上働いておりましたが、本当に酷い環境でした。
なぜなら、会社は労働法を守らない上に、社員に社会保険まで加入させなかったからです。しかも給与に関してはスズメの涙であり、社内のパソコンには違法なコピーソフトで業務に取り組んでいましたね。
気になる残業時間に関しては残業代がないにもかかわらず毎月少なくとも80時間はありました。管理人は毎日、「辞めたい、辞めたい」と口に出しながら働いていましたね。
辞めた今だから言えますが、法律は守らず、激務で給料は低く、経営陣のパワハラはある・・・・。その上、「給与よりもやりがい」を強調する最低な職場でした。
少し、私の愚痴のようになってしまいましたが、16のブラック企業の診断基準のうち該当項目数が13以上(該当率8割強)の会社は本当にやばいブラック企業です。
絶対に関わるべきではないですし、関わると心か体、または両方がおかしくなるので、絶対に距離をおくことをおすすめしたいです。
1番の診断基準は時給単価
このページではここまでブラック企業であるか否かを診断する際に利用される16の診断項目について取り上げてきました。
正直は話、今回ご紹介した診断項目の数は少ない方が良い企業になりますが、ブラック企業を識別する際には該当項目数以上に重要な基準があります。
それは何かというと、労働者の時給単価。その中でも特にポイントになるのが、毎月の基本給と残業代の合計金額と労働時間の関係性。
1つの指標としては、毎月受け取る金額と労働時間を割って出た数値がその会社が属する地域の最低時給を下回るか否か。この算出額が最低時給を下回る会社はかなり危険。
こういった会社は従業員のことをバイト以下の条件でこき使っている会社になります。
逆に言えば、(残業代+基本給)÷労働時間>>最低時給という会社は、給与面ではブラック企業とは言えません。もちろんあくまで給与面に限定はしていますが・・・
ブラック企業であるかどうかは給与だけで診断できるわけではありませんが、仕事の目的の大部分は生活費を稼ぐことなので、まずはこの給与がブラック企業の水準であるか否かをチェックしておきたいところ。
法律違反=即ブラック企業
仮に給与水準では大きな問題がなくても、明らかにアウトなブラック企業も一定数あります。
その会社の典型例は会社ぐるみでの違法行為。もちろん、「違法行為」と聞くと、「そんなことやる会社あるの?」と思うかも知れませんが、実は現在の日本では法律的にアウトな行為を日常的に行う会社は少なくありません。
現にこれから紹介する7種類の違法行為の全てまたは一部を一定割合の日本企業は常習的に行っております。
- 違法な商材の販売
- 無免許での営業行為
- 個人情報の不正使用
- 法律に触れる営業行為
- 会社ぐるみでの脱税
- 安全基準を守らない運営方針
- 顧客に対する詐欺行為
「え、こんなことやるの?」と思うかも知れませんが、会社ぐるみの脱税なんて典型的ですよね。例えば2015年にはTという国内の大手のメーカーが不正会計問題を起こして投資家を欺いたくらいですから。
それに「安全基準の非遵守」に関しては食品メーカーや建築業界では本当によくあります。
例えば建築業界の場合、地震への耐震性の低い建物を何食わぬ顔で建築している会社は少なくありません。それに大手のチェーン飲食店でも賞味期限切れの食材を使っていることなんて普通にあります。
こういった行為は利用者の健康や命を軽視する悪徳な行為であり、安全基準を守らない以上、完全にアウトな行為。当然、役所などにばれれば一発で行政処分の対象になる行為ですので、最悪の場合、発覚次第倒産にまで追い込まれます。
倒産するリスクのある悪徳な行為を何食わぬ顔で会社ぐるみで行う会社は相当やばい会社なので関わらないのが一番です。
ブラック企業で我慢は禁物
このページで取り上げたブラック企業の16の診断項目のうち8個以上該当するブラック企業で働くと日々理不尽にさいなまれることがあります。
具体的には有給の申請依頼を断られたり、突然の給与の減給や理不尽な懲戒処分なんてものがあります。これらは労働者側の権利や人権を無視した完全に理不尽な行為です。
ブラック企業で働いていると「理不尽=当たり前」と思ってしまうかも知れませんが、ブラック企業で我慢をすると大変なことになります。
どうしてブラック企業で我慢をするのがアウトかというと、ブラック企業は何も言わない社員の事を搾取するからです。
現にサービス残業を課しても抗議しない人のことをブラック企業の経営陣は「彼は従順な社畜だなぁ」と考えるのでどんどんサービス残業を課します。
それに理不尽な要求をしてもそれを受け入れる社員というのは、素直で何も言い返さない、扱いやすい人材としてより一層理不尽な要求をしてきます。
また、気が弱い人や怒らなそうな温厚な人というのは社員を使い倒したいブラック企業からするとまさに願ったり、叶ったりの人材と思われるのです。
要するにブラック企業では「我慢をする社員を偉い」、と思わず、「利用しやすい駒」と捉えるので、より一層搾取の対象になるのです。
この点を考えると今回紹介したブラック企業の診断基準を満たすようなブラック企業で働く際には我慢をしすぎるのは自分の身を危険にさらす恐れがあるのです。
この「ブラック企業では我慢はNG」という点はきちんと押さえておきたいですね。
辞めるか戦うか
さてブラック企業の診断基準が8つ以上を超える会社で我慢は禁物となると、取るべき選択肢はこちらの2つしかありません。
- 戦う
- 逃げる
どちらが良いかは個々人の状況次第ですが、「逃げる」という選択は退職届を書けばいつでも取れるので、最初は「戦う」という選択を取ることをおすすめします。
戦う際の大原則
まず1つ目の戦うというのは、理不尽にはNoを突き付けることです。例えば残業を押し付けられた場合は、「残業代が出ますか?」と確認をすること等が該当します。
有給の取得を拒否された場合は、「いつなら有給が認められますか?」と代替日の質問をしたいですね。また入社後に面接時と違う仕事や給与を提示された場合は、契約書に記載された内容をもとに異議を申し立てる、といったことが挙げられます。
もちろんこれを派手にやりすぎるとブラック企業側はあなたを危険人物と捉え、クビにしようとするかもしれませんので、やりすぎは禁物。
あくまでバトルをするような感覚ではなく、質問や自分の希望を伝えるという形で抵抗するようにしましょう。それに要求を呑む際は交換条件を出すのも有効です。
例えば、自分の担当ではない仕事を大量に振られた場合は、「これは受け入れますが、○○月○○日に有給の利用を認めてください」と頼むのは非常に効果的です。
この「正当な権利」を盾に取ったささいな抵抗をブラック企業に行えば、16の診断項目のうち8個以上当てはまるブラック企業の経営陣もあなたのことを「油断ならない人物だ」と思い、軽い扱いをしなくなります。
ちなみにブラック企業を牛耳る経営陣が社員をどのように考えており、どのように洗脳しているのか気になりましたらこちらをどうぞ。
逃げる際は準備が大切
最初は戦う(抵抗する)という姿勢がベストとはいえ、ブラック企業では自社の方針に従わない社員を「抵抗勢力」と捉えて、追い出したり、自社の色に染める洗脳を行います。
特に洗脳はやばいです。これは面談と称して毎週・毎日と自社の方針に染まるように説得してきます。特にこの洗脳の常とう句が、「あなたのため」という魔法の言葉。
この言葉を連呼されると、大抵の人は従ってしまいます。また、上司や社長に飲み会に連れていかれて、懐柔されたりもします。
それでも自社に染まらない場合は、原則として排除したり、いじめの対象になります。要するにブラック企業では自社の事を好きにならない、自社に染まらない人材はいらないのです。
この構造を考えると、「この会社は生理的に無理!」と感じましたら、逃げる準備をすることが欠かせません。
逃げる準備としては転職活動を始める・公務員試験の勉強を始めるといった行為が効果的。また、その職場にいるだけで気分が悪くなるのでしたらバックレるのも一つの手。
正直な話、真正のブラック企業に長々といることには全くメリットがないので、「この会社本当に糞だな・・・」と思ったら「スパッと」辞めるのは非常に合理的な選択になります。
ホワイト企業の診断基準
ここまでの内容のまとめになりますが、今回ご紹介した16のブラック企業の診断項目のうち8個以上を満たす会社は辞めるのが一番。
なぜなら、今回ご紹介した16の診断項目のうち、半分以上を満たす会社ははっきり言ってまともな会社ではないからです。現に異常な状況を放置する経営陣、従業員をこき使う社内体制、永遠に続く残業・・・・
これらが普通にまかり通る会社は当然、真っ当な会社ではありません。こんなやばい会社が変わることはまずありませんので、会社が良くなることを期待するのは無駄ですので、自分が環境を変えるのが一番。
それではどんな環境に移れば良いかというと、ブラック企業ではなく、ホワイト企業と診断される企業です。
このホワイト企業と診断される会社はどんな会社かというと、今回ご紹介したこちらの16のブラック企業の診断項目が3つ以下の会社。
- 週休2日制がない
- 週のサービス残業が30時間以上
- 有給を自由に取れない
- 労働法に違法した雇用契約がまかり通る
- 社員の定着率が2年以下
- 定時帰りを悪にする
- ハラスメント行為が野放し
- 女性社員が定着しない
- 人が足りず慢性的に業務が止まる
- 社会保険に加入していない
- 休職制度がない
- 違法行為を会社ぐるみで行う
- 給与が同年代の平均値を下回る
- 週の残業時間が60時間以上
- 社員の平均勤続年数が3年未満
- 露骨な追い出し行為がある
理想としてはここで取り上げた16の診断項目がゼロの「超ホワイト企業」に入りたいものですが、今の日本には労働者にとって優しい会社がほぼゼロである点を考えると16の診断項目がゼロの会社を探すのは至難の業。
この点を考えると、16の診断項目の中で該当する項目が3つ以下の「比較的ホワイトな会社」への入社を目指すのが現実的。このようなホワイト企業の特徴や探し方についてはこちらのページでまとめておりますので、よろしければ目を通してみてくださいね。

現在31歳の現役のサラリーマン
一流と言われる私立大学を卒業しながらも新卒の就職活動に失敗してブラック企業に入社。
入社後には尋常ではない陰湿なパワハラの被害に遭い、嫌気がさして1年弱で退社して無職に。職歴のブランクあり、スキル無し、コネなしという状況で就職先が見つからず、スキルを身に付けるべくベンチャー企業(実態はスーパーブラック企業)にアルバイトとして入社。
2社目のベンチャー企業という異名を持つブラック企業はパワハラはないものの、激務・薄給(時給換算で500円以下)と典型的なブラック企業でしたが、その会社でWEB制作の技術を学び、その経験から現在の会社(非ブラックな中小企業)に引き抜かれました。
これまでの経験からブラック企業の実態、転職活動のコツ、無職並びにフリーターの就職活動周りに非常に精通しているので、こういった内容のコンテンツを随時配信していきます。なお、自身の過去の経験から労務問題には興味を持ち、隙間時間で社労士の資格勉強にも着手中。
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