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「中小企業はブラック企業ばかり」

もしかしたらあなたもこんな話を聞いたことがあるかもしれません。現にきっとあなたも大手の会社と中小の会社のどちらがブラック企業が多そうかと聞かれると中小と答えると思います。

実はこの感覚は至極まっとうです。なぜなら中小企業は慢性的に人が不足するので、どうしても深夜残業や休日出勤が半強制的に行われるので結果として労務環境はブラック企業と同じ水準になりがち。

もちろん、「中小企業にはブラック企業が多い」と言われても中小企業の実態が分からないとこの点がしっくりこないと思います。そこで今回は下手なブラック企業よりも労務環境が悪い環境関連の計量を請け負う中小企業で働いた経験がある管理人の知人の体験談をご紹介しようと思います。

彼の話を聞くと慢性的な人手不足悩まされているブラック企業の気質が満点のダメな中小企業の実態が分かります。

新卒なのに連休も仕事・仕事の日々

私が勤めていたのは環境計量をする会社です。

具体的にどのようなことをするかというと、工場か排出される汚染水が、きちんと工場内で処理されてから排水として流れていくのかを調べ検査結果をデーターにします。大学の研究室で河川の水質検査をしていたので、その研究の延長でそのような会社に就職しました。

他の会社で正社員になった同級生はきちんと入社式や研修・歓迎会などがあったようですが、私の会社は従業員8人のとても小さな会社で入社式も歓迎会も研修もありませんでした。大不況と言われた時代でしたし、新卒なのでどうしてこの会社は研修や入社式がないのか先輩に聞くこともできませんでした。

分析室にいたのは私と20代半ばで6年目だという女性(主任)、5月にその会社を退職するという30代くらいの女性と私の3人でした。お弁当をそれぞれのデスクで食べるのですが、主任はお弁当を食べながらデーターのチェック、退職する女性は単行本を読んでいて全く会話がありませんでした。

その時はどちらも口数が少ないだけなのかと思い、あまり気にしませんでした。

仕事では主任から分析機器や手順を簡単に説明されただけでした。大学の時には触ったことのない分析器や器具がたくさんありましたが、仕事をしながら覚えるという感じでした。

5月になり主任と私の二人になると、仕事量は増えました。五月の連休も勤務し、分析をしなければならない検体が山ほどありました。新人の時は皆そうですが、覚えなくてはいけないことは山ほどあります。

私も頑張って仕事をこなそうとしていたのですが山ほどの検体の分析とで疲れがたまり、人生で初めて十二指腸炎になりました。

サービス残業

入社して2か月ほど経つと分析室に中途採用された女性がきて、3人になりました。

その頃から仕事量がますます増えて就業時間が終わっても帰れない日が多くなりました。残業です。終業時間を過ぎても主任から「至急でお願いします」と言われ仕事をします。分析は早いものでも30分、その分析に使った器具の洗浄をすると一時間はかかります。

主任から頼まれたことなので言うとおりにしましたが、その分の残業の報告をすると「このくらいの残業は認められません」と主任から却下されました。中途採用で入った女性も同じように言われていました。

昼食をとった後は休憩もなく黙々と言われた仕事をこなし、月100時間を超える残業をしても残業の報告は認められませんでした。

分析室の他には排水や工場大気を採取する現場チームがありました。

現場チームは朝4時から出勤し工場に出かけ採取します。採取した検体を分析室が処理し、分析するという流れです。現場チームは朝が早くから出勤したにもかかわらず、何度も工場と会社を行ったり来たりしていました。

分析室も22時まで残って仕事をすることがほとんどでしたが、現場チームは夜8時すぎまで仕事をしていました。

その年の12月になり、大学の友達とボーナスの話になりました。

夏季のボーナスをもらわなかったし、サービス残業もしたのだから少しはもらえるかと思ったら、社長から直々に従業員全員へボーナスを支払えないとの話をされました。さらに3月に給料の半分しか振込ができない。もう半分は来月の給料と一緒に支払うという事態がおきました。

激安で入札した

どうやらその原因は激安で入札していたことだったようです。従業員の一人がぼそっと言っていました。

営業担当者は私が入社した後に入ってきた50代の男性でしたが、データーを扱う営業は初めてで知識が全くなかったとのことです。

営業担当の男性は一人だったので、おそらく入札の値段やコストについて社長と相談して決めていたと思いますが、分析をするには薬品も使いますし、分析機器を起動させるのもお金がかかります。そのことを会社の方からきちんと説明されていなかったのでしょう。

激安入札で大量に検体を受理し、一週間毎日100件近い検体を分析したこともありました。

現場チームも毎日100件近い現場を回るのですから大変だったと思います。分析は全て機械を使うわけではなく検体に試薬を入れて30分熱湯に入れるなど手作業で行なう工程が多かったため、集中力はなくなるし器具も洗浄できずにいることが多々ありました。

分析結果の計算もパソコンではなく一つ一つを計算していたため、計算ミスや違うデーターで計算していたなどのミスがあり、主任に注意されることもたびたびありました。

そんな状態でもやはり残業申請が認められることはありませんでした。

どんどんやめていく従業員

2月に営業担当の男性が退職しました。続けて現場チームの男性2人が辞めていきました。

経理の女性も結婚退職していきました。残された従業員で、なんとか仕事をこなしていたある日のことです。アパートに帰ると実家から留守電がありました。祖母が危篤状態になったという知らせでした。

私の実家は祖母と同居していて、私は大学を卒業するまでずっと祖母と一緒に暮らしていました。入社してから間もなく体調が悪くなり入院生活を送っていたのです。

ちょうど次の日は日曜日で会社は休みだったので、すぐに病院へ行きました。祖母は家族が駆けつける前に亡くなっていたそうです。

その頃は私の実家がある地域では葬儀会館でお葬式をするという習慣がありませんでした。

病院で体をきれいしてもらい、父が祖母を抱えて私が車を運転して帰ってきました。

母は祖母に布団を用意して寝かせました。死装束は祖母が自分で縫っていたと母が教えてくれました。近くに住む親戚に連絡し、葬儀ができるスペースをつくるための掃除や荷物運びをしました。夜中にも関わらず、親戚も率先して荷物運びをしてくれました。
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次の日に葬儀の日取りを決め、遠くにいる親戚や近所の人達にも連絡をして葬儀をするための準備が始まりました。不幸があり、出勤できないことを会社に連絡しようと思いましたが日曜日なので誰もいません。
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主任に連絡をしてみましたが、時間をおいて何度かけても通話中でした。仕方なく社長に連絡すると大変だろうから一週間程度休んでいいと言われたので、そうすることにしました。
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葬儀が終わり、実家に集まった親戚も徐々に帰って行っていきました。そして一週間ぶりに出勤し社長に香典のお礼をすませて分析室に向かいました。

主任と同僚にご迷惑をおかけしたと挨拶をすると、主任からどうして社長に連絡したのか聞かれました。主任に連絡したけれど何度電話しても通じなかったことを話すと、主任は電話回線でインターネットをしていたとのことでした。

それなら連絡の取りようがないと思ったのですが、主任から「だったら連絡がつくまで何度も何度も電話すれば良かったでしょ」と怒られました。社長に連絡したのが気に入らなかったようです。

この時、ぷつんと張りつめていた糸が切れました。

これまでサービス残業しながら頑張ってきてボーナスも給料後払いも何も不満を言ったこともなく主任の言うことに従っていたのに、一緒に住んでいた祖母の葬儀が終わって会社に行ってすぐの態度がこれなのか。主任の声を聞きたくなくてトイレにこもってしばらく泣いていました。

経営に余裕がない会社は心にも余裕がない

そのひと月後、私は退職しました。

退職する時に分析室の同僚が「私も来月退職することにしたんだ」と話していました。入社したばかりの頃、30代の女性が退職したのは私が入社する前から同じようなことがあったからなのかも知れないと思いました。

今はほとんど残業がなく終業時間に帰ることができますし、同僚にも恵まれて楽しく仕事をしています。子どもが小さくて熱を出して急に休むことになったという同僚がいても「私たちもそうやって周りに助けられたんだから、気にしないで休んで」と上司から言われていました。

人手不足で大変な時もありますが、このように上司から言わることで周りの人も快く同僚の分の仕事をすることができます。

会社の経営に余裕がないと従業員の心に余裕が生まれず、必要以上に部下に注意してしまったり、従業員同士の関係もぎくしゃくしてしまうことがあるでしょう。退職して再就職をして良かったと思います。

現在31歳の現役のサラリーマン

一流と言われる私立大学を卒業しながらも新卒の就職活動に失敗してブラック企業に入社。

入社後には尋常ではない陰湿なパワハラの被害に遭い、嫌気がさして1年弱で退社して無職に。職歴のブランクあり、スキル無し、コネなしという状況で就職先が見つからず、スキルを身に付けるべくベンチャー企業(実態はスーパーブラック企業)にアルバイトとして入社。

2社目のベンチャー企業という異名を持つブラック企業はパワハラはないものの、激務・薄給(時給換算で500円以下)と典型的なブラック企業でしたが、その会社でWEB制作の技術を学び、その経験から現在の会社(非ブラックな中小企業)に引き抜かれました。

これまでの経験からブラック企業の実態、転職活動のコツ、無職並びにフリーターの就職活動周りに非常に精通しているので、こういった内容のコンテンツを随時配信していきます。なお、自身の過去の経験から労務問題には興味を持ち、隙間時間で社労士の資格勉強にも着手中。

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