

ベンチャー企業と聞くとどんな印象をお持ちでしょうか?
この質問をすると、きれいなオフィス、華やかな仕事、イケイケどんどんの社風、といったことを思い浮かべるかもしれません。
これらは決して間違ってはいませんが、あくまでベンチャー企業の華やかな一面に過ぎません。
実はベンチャー企業というのは、実態は規模の小さなブラック企業でしかありません。
なぜなら、ベンチャー企業は慢性的な人手が足りない会社なので、一人一人の裁量が大きい分、社員は慢性的な長時間労働を強いられるからです。
しかも週休2日制といった当たり前の休みや残業代といったものもないケースが多いので、人によっては働くのが苦痛な環境でもあります。
この点をご理解頂くためにこのページでは管理人の知人で何も知らずにベンチャー企業に入社し、入社後に後悔した女性の体験談をご紹介します。
イケイケベンチャー企業の実態
私は、1ヶ月間だけITベンチャー企業に勤務していました。
元々大学卒業後は、大学のある地域の中核都市で就職し、2年間働いた後その仕事を辞め、更に大きな都市へと引っ越しました。
そうして、IT企業への転職を目指してプログラミングを学習し、たまたとある会社の社長の人柄に惹かれて面接を受けることにしました。
その結果として、その企業には落ちましたが、その会社の子会社のホームページ制作会社にて採用したいとの連絡がありました。
面接のとき、社長とそのホームページ制作会社の社長は私に訓練を施し、実践的なスキルを身につけてもらう予定だとお話をしていただきました。
その話を聞き、頑張ってみようと思い、内定をもらった時には本当にうれしかったです。
その会社の社員は営業職以外スーツを着ないため皆ラフな服装で働いておりました。しかも幹部クラスは見るからに押せ押せな雰囲気、会社全体がどこかバブリーな雰囲気でした。
今まで田舎にある、昭和の価値観の残る会社に勤めて心身ともに疲弊しており、正常な判断ができず、反動でベンチャー企業に興味を持っていたのだと思います。
そして、転職活動を長引かせたくなかった気持ちから勢いで内定を承諾しました。初めての転職活動、このときの私は本当に労働法に関して本当に無知でした。
入社後に感じた違和感
内定後、入社前の面談があり、親会社の社長、内定を貰った会社の社長と面談をしました。
その内容は研修期間を半年間設け、その間の雇用形態は前半の3ヶ月はアルバイト、後半は契約社員といったものでした。そしてその半年を経た後に正社員雇用をするということでした。
このとき、私は気づかなかったのです。
労働条件明示書や昇級条件の詳細を示した書面を見せられていないということに!
このことが後に私を激しく苦しめることになります。
私は元々細かいことを気にしない性格だったため、違和感にも気付かず毎日を過ごしていました。
この会社に入る前は田舎の中小企業に勤めており、無駄な会議はなく社内の会話は全てチャットアプリを用いたりして何もかも新鮮でした。
お洒落なオフィス、仕事中にはそのときリリースされた新曲が流れるなど、元来田舎者である私にとっては刺激が多かったです。
また、女性社員は3人おり、全員同世代だったため彼女たちとの会話は楽しかったです。
しかし、後で気付いたことですがこの会社、女性の正社員は誰一人としていませんでした。最初から女性を正社員として採用する気がなかったのかもしれませんが。
その他にも、お茶に誘われたときも喫煙席に連れて行かれたり、冷静に考えてみるとおかしなことは度々ありました。
「突然の契約打ち切り」
当時、私はこの状況に関して「なんか研修期間がえらく長い気がするけど、そんなもんなのかな。」程度にしか思っていませんでした。
その会社に勤めて1ヶ月後、突然社長から面接をすると言われ、「このままの成長ペースじゃ今月いっぱいで契約打ち切り」との通告。
更に、その時になって初めて作業あたりの目標時間が書かれた用紙を渡されました。
流石に不信感を抱いた私は、その日の夜に友人2人に相談しました。
すると、2人とも「そんなところで我慢する必要はない、もっと良いところで働きなよ!」と背中を押してくれました。
このときから、「この会社を一刻も早く辞めなくては」という思いに駆られ自分のために行動することを決意したのです。
「人生で初めての労基署へ」
次の日、「もうこの会社と争うことになっても構わない」と覚悟を決め、人生で初めて労基署へ相談に行きました。
担当してくれた職員の方は穏やかそうな女性で、丁寧に私の話を聞いてくれました。
そこでは、専用の用紙を配布され氏名、住所、要件など記入事項を書き提出します。勤務している会社名は任意の記入とのことでした。(私は会社名は記入しませんでした)
会社が必要書類を提示しなかったこと、解雇通告されたことを話すと、職員の女性は法律違反だとおっしゃっていました。
更に、新人を雇うときはスキルが未熟だということも見据えて採用しなくてはいけないとのこと。
そうして、その日の夜に会社に退職することを電話で伝えました。
こうして、1ヶ月でその会社を辞めることになり、残すは給料の支払いを待つだけでした。
まさかの給与の支払遅延の連絡
そしてある日、社長から携帯電話に連絡が入っていました。
そこには「会社に提出していた銀行口座のコピーがないので、給料の振り込みは遅れる、雇用保険被保険者証に記入されていた口座に給料を入れていいか」というメッセージがありました。
確かに社長は私の目の前で通帳を預かりコピーしていたにも関わらず、紛失していたのです。
更に驚いたことに、そのメッセージの中には「すみません」など謝罪の言葉が一言もなく、個人的には、まるで自分は悪くないと思っているような印象を受けました。
もうこの時点でこの会社相当危ないな、と感じていました。
「弁護士に相談」
その後、給与明細が届かなかったため堪忍袋の緒が切れた私は、ブラック企業への対応を調べるためホームページを読み漁りました。
そして、県の主催する弁護士の無料相談窓口に電話で相談することにしました。
すると、はきはきとした口調の男性が電話に出たので、その会社を辞めた経緯、労基署に行ったこと、今後の対応を話しました。
その弁護士の方からは、「そういった会社はこちらが連絡をした、という証拠を残しておかないととぼける可能性がありますので、給与明細の送付のお願いはメールや特定記録で形に残しておくのが確実です。」と的確なアドバイスを頂きました。
そこで言われた通りに給与明細を指定した期日までに送ってほしいことを書面に書き、特定記録で郵送しました。
その結果、労基署の一件もあったからか、人が変わったかのように対応が迅速になりました。
まとめ
ベンチャー企業勤務と言うと一見格好良く見えます。入社当時の私もそう思っていました。
しかし、その実態は経営状況は火の車、労務に関する知識を身につけないまま勢いで起業している人も大勢います。
そういった背景があるため、ベンチャー企業はきつさの割に給料や福利厚生は不十分な場合が多いのです。
一方で大企業であったり立ち上げて10年以上経っている会社は福利厚生や教育体制が整っている場合が多いです。大企業が人気なのはそういった理由からでしょう。
勿論将来の目標があってベンチャー企業への就職を選ぶのは選択肢としてはありだと思いますが、もし少しでも違和感を感じたら一度労基署や弁護士の無料窓口に相談してみることをお勧めします。
私は友人たちにも悩みを相談し、親身に聞いて貰えたお陰で行動することができました。
もし彼らに相談していなければ、会社に洗脳されていたと思います。
会社を辞めることを社長に電話で伝えたとき、不安で友人に隣にいてもらいました。
会社を辞めた後は派遣社員をしながら転職活動をし、最近内定を頂きました。
悩みを聞いてくれた友人たち、労基署の職員や弁護士の皆さんには本当に感謝しています。
もし働くことが辛いと感じたら思い切って逃げて下さい。その決断は、きっとあなたにとってベストな未来へと繋がります。
なお、ブラック企業から逃げる際にはこちらの記事が役に立つのでよかったら目を通してみてくださいね。
現在31歳の現役のサラリーマン
一流と言われる私立大学を卒業しながらも新卒の就職活動に失敗してブラック企業に入社。
入社後には尋常ではない陰湿なパワハラの被害に遭い、嫌気がさして1年弱で退社して無職に。職歴のブランクあり、スキル無し、コネなしという状況で就職先が見つからず、スキルを身に付けるべくベンチャー企業(実態はスーパーブラック企業)にアルバイトとして入社。
2社目のベンチャー企業という異名を持つブラック企業はパワハラはないものの、激務・薄給(時給換算で500円以下)と典型的なブラック企業でしたが、その会社でWEB制作の技術を学び、その経験から現在の会社(非ブラックな中小企業)に引き抜かれました。
これまでの経験からブラック企業の実態、転職活動のコツ、無職並びにフリーターの就職活動周りに非常に精通しているので、こういった内容のコンテンツを随時配信していきます。なお、自身の過去の経験から労務問題には興味を持ち、隙間時間で社労士の資格勉強にも着手中。
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